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2011年7月

2011年7月20日 (水)

賃貸住宅の契約更新料は「有効」…最高裁初判断(平成23年7月20日更新)

賃貸住宅の契約を更新する際に借り主側が支払う「更新料」が、消費者契約法に照らして無効かどうかが争われた3件の訴訟の上告審判決が15日、最高裁第2小法廷であり、古田佑紀裁判長は「更新料が家賃と比べて高すぎるなどの特別な事情がない限り、有効」との初判断を示した。

その上で、今回のケースでは3件とも特別な事情は認められないとして、家主に更新料の返還などを求めた借り主側の請求を棄却した。借り主側の敗訴が確定した。更新料は、首都圏や愛知県、京都府などで40年以上前から続く商慣行。家主側の弁護団によると、100万戸以上の賃貸住宅で設定されている。今回の訴訟は、京都市や滋賀県のマンションの借り主が2007~08年に提訴。2審・大阪高裁で「無効」2件、「有効」1件と分かれ、最高裁の判断が注目されていた。

訴訟では、更新料契約が、消費者契約法で無効とされる「消費者の利益を一方的に損なう契約」に当たるかどうかが争点となった。同小法廷はまず、更新料について「家賃の補充や前払い、賃貸借契約を継続するための対価などの複合的な性質を持ち、経済的な合理性がある」と指摘。更新料が契約書に明記され、家主と借り主の間に明確な合意がある場合には、「金額が高すぎるなど特段の事情がない限り、消費者の利益を一方的に損なう契約とは言えない」と判断した。

その上で、今回のケースは、更新料が家賃の約1~2か月分、更新料を払うことで延長される契約期間も1~2年で、「同法で無効とすべき特段の事情はない」と結論づけた。(2011年7月15日20時12分読売新聞)http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110715-OYT1T00591.htm

賃貸借における更新料については、高等裁判所(最高裁以外の裁判所)でも判断が分かれていた。争点は、更新料特約が下記条項が該当するか否かである。なお、消費者契約法は、平成14年4月1日施行であるから、同日以降の契約が対象となり、また、賃貸人が事業者、賃借人が素人の場合などが適応対象となる。

(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)

消費者契約法 第十条 民法、商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。

賃貸借契約は、一般的(あくまで一般的)に賃貸人が有利な契約内容になっている。契約の段階では、一般的(あくまで一般的)に賃貸人が主導権を握っており、賃借人になろうとする者はほぼ賃貸人のいうがままということが多いようである。更新料についても嫌だとは言えないのであろう。貸してくれなければそれで終わりだからである。

民法第1条第2項は、信義誠実の原則を定めたものであり、更新料特約がこの基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するのであれば、更新料特約が無効となる。最高裁は、この更新料特約を原則有効として、消費者契約法の適用を否定した。最高裁の判断は、この更新料特約を無効とすると実務上の影響があまりに大きいということが背景にあることは間違いない。平成14年4月1日以降の更新料特約を原則無効とすると返還請求が多くなり、実務が混乱していたことが明らかである。多分司法の世界にも特需が起こっていたであろう。

 ただ、更新料特約は、原則有効であるが、金額が高いなど特段の事情がある場合は無効となる場合もある。

司法書士 藤村和也 http://www.kfsj.net

2011年7月 8日 (金)

不動産詐欺取引(平成23年7月8日更新)

 登記情報595号38項以下に、不動産詐欺取引の報告(報告であるから事実である)がある。一度は見破り2度目に被害にあっている。それくらいシビアな詐欺である。騙された司法書士事務所が補助者に立会をさせているなら、司法書士には間違いなく過失がある。当然に過失相殺もあろうが損害賠償義務が生ずる。

 偽造された権利証の一見した不自然な部分は、(被相続人 ○○)の部分である。この部分は、申請人(被相続人 ○○)と記載するのが書式例であり、位置が違う。ただ、この一点をもって偽造権利証と断定することは困難である。相続登記の権利証の素材は通常司法書士が提供しているので、たまたま打ちミス等も考えられ、法務局もこのミスを見過ごすこともある(人間がする以上仕方がない)。

 感想からいうと偽造を見破った司法書士に関心する。私は、一度も偽造権利証にであったことがないから、どういう対応をとるか分からないが、念には念を入れたと考えられる。決済は、できる限り成立させようとするのが司法書士の立場である。流すためには、決定的なもの(添付書類の不足、実印違い等)が必要である。

 私の決済前の通知には、[私の決済に伴う立会は、事後のトラブル等がおきないように、本人確認等を厳格に行なっておりますので、ご協力お願い致します」と記載してある。たまにウルサイと思われることがある。古い業者に買主は不要だろと文句を言われたこともある(実際には、売主買主双方が必要)。

 厳格だと評判になれば、詐欺にもあいにくいだろうと考えている(その代わり適当にやってほしいと考えている業者は私には、依頼がこない)。私は、最終的に、今まで立ち会った何百件のすべての決済を中止することなく、実行し、登記も完了している。後に訴訟等のトラブルになったこともない。

 私が決済前に同行(最終的に別の司法書士が受任)し、売主や担保権者に忠告したことがあり、受任に至らなかった事案があった(売主からは、その日に相当の文句を言われた)が、その事案は、後日、訴訟となり(第一審は、所有権移転登記の抹消の判決)、最終的に買主はに多額の損害が発生した事案もあった。これは、きちんと意思確認をしなかったことが原因であった。

司法書士 藤村和也 http://www.kfsj.net

2011年7月 1日 (金)

倫理の世界(平成23年7月1日更新)

司法書士は、5年に一度倫理研修が義務化されている。私も二度ほど参加した。次の事例の場合、皆さんならどのような対応をしますか。

①成年被後見人Aの成年後見人司法書士藤村和也は、今般、A所有の不動産を売却することになった。司法書士藤村和也は、司法書士として所有権移転登記の代理を買主から委任を受けることができるか(売主は、法定代理人であるから考慮不要)

②司法書士藤村和也は、原告Bから被告Cに対する貸金請求訴訟を受任し、訴訟を提起している。被告Cから、所有権保存登記の依頼があった。所有権保存登記の委任を受けることができるか。

③司法書士藤村和也は、原告Bから被告Cに対する貸金請求(訴訟外)を受任し、訴訟外で交渉をしている被告Cから、所有権保存登記の依頼があった。所有権保存登記の委任を受けることができるか。

司法書士藤村和也は、原告Bから被告Cに対する貸金請求訴訟を受任し、訴訟を提起し、勝訴的和解が成立し、被告Cは、原告Bに全額を支払った。被告Cから、所有権保存登記の依頼があった。所有権保存登記の委任を受けることができるか。

⑤司法書士藤村和也は、被相続人の相続について相続人DE同席の元、相談を受けた。その場合では、一応の合意があったが、最終的な結論はでなかった。その後、数回に渡り、調整しようとしたが、合意には達していない。Dより所有権保存登記の依頼があった。所有権保存登記の委任を受けることができるか。

⑥司法書士藤村和也の父がこの度不動産を購入した。司法書士藤村和也は、所有権移転登記を受任できるか。

⑦司法書士藤村和也は、原告Bから被告Cに対する貸金請求訴訟を受任し、訴訟を提起し、訴訟を遂行している。司法書士 藤村和也の共同事務所の司法書士甲がCから、所有権保存登記の依頼があった。Cは、所有権保存登記の委任を受けることができるか。

個人的な回答

①受任すべきでない。双方代理は原則禁止である(民法108条本文)。所有権移転登記は売主買主から代理を受けるので、双方代理である。ただ、登記は、債務の履行に関するものであるからできる(民法108条但書)。本事例においても債務の履行に関するという点でだけであれば、受任できる。しかし、司法書士 藤村和也は、成年被後見人Aの法定代理人であり、事実上売主そのものであり、買主を害する恐れがあるから、受任すべきでない。

②受任できない。訴訟中の被告から、所有権保存登記を受任することは、司法書士藤村和也に経済的利益を得たことによって、被告に司法書士 藤村和也が有利に訴訟を進める可能性があるので、受任できない。

③受任できない。②との違いは、訴訟中か否かであり、結論は異ならない。

④受任できる。完全に紛争が終結しているから、原告の不利益はない。

⑤受任できない。一度本格的な調整に入った以上、平等に扱うべきである。よって、Dに司法書士 藤村和也が有利に遺産分割を進める可能性があるので、受任できない。

⑥受任すべきでない。この事例も①に近い。債務の履行にすぎないと考えれば所有権移転登記を受任することができる。事実、この事例は司法書士が受任している例もある。しかし、私は、実際に、受任しなかった(書類等は、私が作成し、決済時の立会を他の司法書士に依頼し、費用の低減はした)。所有権移転登記は、売主買主から双方から代理を受けるものであるからである。何かあれば、父に有利にする可能性があるからである。

⑦受任できない。共同事務所においても②と同様である。

紛争の世界は、倫理の世界と言ってよい。司法書士が簡裁代理権を取得する際に、弁護士は、所有権移転登記で司法書士は双方代理になれているという理由等で反対した(実際には、既得権の保護)。ADR(裁判外紛争解決手続き)において、原則弁護士の関与が必要とされている理由の1つがこの倫理であることは間違いない。当然、弁護士にも倫理研修があるし、ほとんどの弁護士は紛争の世界に身をおいているので、常に倫理を向き合っているからである。

司法書士 藤村和也 http://www.kfsj.net

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