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2017年12月

2017年12月21日 (木)

遺産分割協議書と文書偽造

事例 平成25年12月に父が死亡しました。相続人は、妻A、長男Bです。

妻Aが自宅を相続する遺産分割協議が平成26年3月1日決まりました。Aは、翌日、司法書士事務所に行き、遺産分割協議について説明し、司法書士は、内容にそった遺産分割協議書を作成し、その場で渡しました。

Bは、遺産分割協議書の内容を確認した上で、直筆で著名し、実印をAに渡しました。Aは、Bの実印を遺産分割協議書に押印し、自分も遺産分割協議書に署名押印し、遺産分割協議書が完成しました。

平成26年3月10日司法書士が遺産分割協議書をその他の書類を受領し、その他の書類も揃っていたので相続登記を申請し、登記が完了しました。

平成29年12月長男Bが突然、Aに対し、「俺の印鑑を押しただろ、文書偽造だ 警察も告訴状を受理している」と言って怒鳴り込んできました。後日、警察が事情を聴きにAの元に来ました。

本件において、まず 刑法上の文書偽造かどうかを検討します。

(私文書偽造等)

刑法第159条
  1. 行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造した者は、3月以上5年以下の懲役に処する。(以下略)

一見すると行使の目的で、他人の印章を使用して権利義務に関する文書(遺産分割協議書)を完成しているので刑法上の文書偽造をしているように見えますが、文書偽造は故意犯なので刑法上の犯罪にはなりません。

次に民事上の観点から検討します。

「遺産分割協議書の内容を確認した上で、直筆で著名し、実印をAに渡しました」という行為は、印鑑押しといてという意味です。つまり、印鑑の押印の代理権を付与していると考えられます。よって、代理である以上、文書偽造は当然でてきません。

民事上、代理であるので、刑法上の文書偽造でないことも明らからです。

どちらにしても親族関係とはいえ、何が起きるか分からないので、親子関係でもトラブルは未然に防ぎたいものです。

司法書士 藤村和也

http://www.kfsj.net

2017年12月13日 (水)

遺言と遺産分割協議

 最高裁の判例(平成14年6月10日)では、遺言による相続の場合、不動産について対抗要件を備えなくとも第三者に対抗できるとしています。

 このことから、最高裁は遺言が原則で、法定相続分は補充的なものと解釈しているようです。法定相続分が原則であるなら、遺言は法定相続分を変更するものとして対抗要件の問題がでてくるからです。

本題は、遺言があった場合に相続人全員の遺産分割協議が可能かということです。遺言は、遺言者が一方的に作成するもので相続等をするものの承諾なく作成できます。実務では、遺言があっても遺言の存在を前提として、相続人全員での遺産分割協議は可能と解釈されています。

※遺言の存続を知らないでした場合には、遺産分割協議は遺言に抵触する範囲で無効と解すべきでしょう。

理由としては、遺言で相続させるとあっても、相続する側にはそれを拒否する権限があるからです。遺産分割協議は、遺言で相続するとされた相続人が拒否したとの意思を含むと解釈できるからです。

なお、遺言でもらうかたが相続人以外の第三者の場合には、受遺者の遺言による取得の放棄が必要です。

司法書士 藤村和也

http://www.kfsj.net

2017年12月 4日 (月)

相続登記における遺産分割協議書、特別受益証明書、相続分譲渡証明書、相続放棄

事例1 被相続人甲が死亡し、相続人 子ABCがいるが、それぞれ遠方に居住しています。ABCが盆で話し合い、Aが唯一の遺産である土地を相続することとをなった。文書は作成していません。

本件は、下記方法が考えられます。

 ①上記は、遺産分割協議に他ならないので遺産分割協議書で相続登記をする

 ②BCが特別受益証明書を作成する

 ③BCが相続分をAに譲渡する

 ④BCが家庭裁判所に相続放棄申述をする 

1 本件は、通常であれば遺産分割協議なので遺産分割協議書を使用して相続登記をすべき事案です。1通の遺産分割協議書に全員が署名押印する他、同一内容の遺産分割協議書3通にそれぞれが著名押印(実印)する方法もあります。司法書士であれば遺産分割協議書を使用すべきです。

2 特別受益証明書は、本件であればBCが生前に法定相続分以上の財産を受け取っているので相続分がないという書類です。相続登記はできますが、実態にあっていないので、司法書士としては使用しませんし、懲戒の対象にもなりえます。

3 相続分譲渡証明書に、BCが著名押印(実印)し、印鑑証明書などを添付すれば登記できます。本件では、こういう考えもできなくもありません。本件では、司法書士は利用しないと思います。

4 BCが家庭裁判所に相続放棄申述をすれば相続人がA一人になるので相続登記が可能です。でも、手間暇かけるので、負債があるなど特殊な事案でないと利用しません。

事例2 被相続人甲が死亡し、相続人妻A 子BCがいるが、それぞれ遠方に居住しています。ABCが盆で話し合い、唯一の遺産である土地をAが相続することとをなった。文書は作成していません。

 本件は、下記方法が考えられます。

 ①上記は、遺産分割協議に他ならないので遺産分割協議書で相続登記をする

 ②BCが特別受益証明書を作成する

 ③BCが相続分をAに譲渡する

本件は、上記は理論上可能ですが、「BCが相続放棄」を利用すると問題がでています。子供がいないと被相続人の父母(第二順位)や兄弟(第三順位)などが相続人となってしまいます。

事例3 被相続人甲が死亡し、相続人 子ABCがいるが、それぞれ遠方に居住しています。ABが盆で話し合い、唯一の遺産である土地をAが相続することとをなったが、Cが反対し、遺産分割協議は、成立していません。

本件は、現状では相続登記はできていません。このような場合、相続分譲渡証明書の利用価値がでてきます。Cと遺産分割協議がいつ成立するのかなどは分かりません。BがAに相続分を譲渡すれば、Bは遺産分割協議の当事者から抜け、Aの相続分が増えます。後日、AとCの遺産分割協議が整えば相続分譲渡証明書と遺産分割協議書を添付すれば相続登記が可能です。この場合の印鑑証明書には期限がありません。

また、家庭裁判所の実務では、遺産分割調停の当事者を減らす方法として相続分譲渡証明書が使用されています。

本件で、Bが特別受益証明書を作成や相続放棄をした場合には、ACの相続分が比例してあがり、Bの意思には反してしまいます。

司法書士 藤村和也

http://www.kfsj.net

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