「虎に翼(NHK連続テレビ小説)」 尊属殺 9月11日投稿
「虎に翼(NHK連続テレビ小説)」をこのごろみています。きっかけはネットで「刑法200条尊属殺重罰規定について穂高先生が違憲との意見とした」とあったことです。
刑法200条(尊属殺重罰規定)は私が大学に入学(平成6年)時にはまだ条文としてありました。ただ、最高裁判決(昭和48.4.4)を受けた最高検の通達により死文化し、刑法の口語化で削除されることも決まっていました。
大学3年か4年のときに大学の図書館で「最高裁物語上下 山本裕司」を読んでいたら記憶では下巻で「人生経験をつんだ最高裁判事でも目を覆うような事件が上告されてきた(こんな感じです)」とあり、尊属殺重罰規定違憲判決について記載がありました。
刑集の巻数等があったので図書館にあった刑集をだしてもらってその事件を読むと(夜20時くらいです)とあまりの被告人の悲惨さと被害者の異常さがずっしり残りました。憲法判例百選にもある有名判例ですが、判例百選の事実関係の部分は非常にオブラートに書いてありますが、刑集の記載を読むと被告人を刑務所に送るのは余りに酷と100人いたら100人考えると思います。人を殺して良い場合もあると思いました。
「虎に翼」でもこの事件はでてくると考えていましたが、9/10放送で事件の概要、9/11では一審の違憲判決、刑の免除(新聞のみ)がありました。事件の概要はさりげなくでてきますが、内容は深刻です。ただ、モデルとなっている事件はこの数100倍、悲惨です。
この事件の高裁は懲役3年6か月の実刑判決(無期懲役を減刑して7年 さらに酌量減刑して3年6か月)で刑法200条を前提に最大の減刑をしています。ただ、問題ある裁判官だったと言われています。執行猶予がつけられるのは懲役3年までです。
最高裁では尊属殺重罰規定の合憲の判例が積もっていましたが、さすがに実刑はないと考えたのでしょう。多数意見は「尊属殺重罰規定の目的の尊属を敬愛すべきという倫理観を維持するために重い刑罰を科すということ自体は不合理でなく合憲だが、通常の殺人罪(刑法199条)は執行猶予がつけられるが、尊属殺重罰規定(刑法200条)は執行猶予がつけられないのはその目的達成の手段といしていきすぎと憲法14条(法の下の平等)に反するとして違憲とし、被告人に懲役2年6か月、執行猶予3年を言い渡しました。
なお、最高裁では弁護士の弁論が行われていますが、名演説と言われています。「虎に翼」でもでてくると思います。
司法書士 藤村和也
« 司法書士 藤村和也 事務所 ホームページ は、http://www.kfsj.net です。 | トップページ | 混雑している電車で朝から酒飲むな 朝から酒飲むな »
この記事へのコメントは終了しました。
コメント